鉄分が少ないと貧血だけでなく不妊の原因にもなる
たんぱく質に次いで妊娠に欠かせない栄養素が鉄です。
鉄は粘膜をつくる材料になるので、子宮内の環境を整えるのに不可欠です。
鉄が含まれている葉酸サプリも多く販売されている通り、鉄の働きとしてよく知られているのが、赤血球をつくったり、体内に酸素を運ぶこと。
鉄が不足していると、貧血になったり疲れやすくなるのはこのためです。
- 主な働き
- ・赤血球をつくる
・体内に酵素を運ぶ
・骨、皮膚、粘膜の代謝と関係する
・コラーゲンの合成に関係する
・白血球、免疫に影響する
・知能・情動に影響する
- 不足すると
- ・貧血になる
・めまいや耳鳴りがする
・血色が悪くなる
・シミやニキビができる
・爪が弱くなる
・集中力がなくなる
鉄は美容・美肌効果としても大切
鉄は、美容面でも大きく影響します。シミやシワを防ぐなど、美容効果があるのです。
たとえば美容にいい栄養として知られているコラーゲンは、食べてもそのまま吸収されるわけではありません。
コラーゲンは体内に入るときに分解されてしまうのですが、それを再合成するときに必要なのが鉄です。
また、ニキビや湿疹ができやすいのも、鉄欠乏のサインです。
鉄は体内のさまざまな場所に分布していて、そのうち7割が赤血球に含まれます。
そのほかには血清鉄、組織鉄、フェリチンに含まれています。
鉄不足が潜在的な鉄欠乏招く
一般的な貧血検査では、赤血球に含まれるヘモグロビンの値などを基準にしますが、クリニックなどで行なう血液検査で重視されているのはフェリチン値。
フェリチンとは貯蔵鉄、いわば貯金している鉄です。
潜在的な鉄欠乏とは、このフェリチンが少ない状態をさします。
鉄分は、まずこの貯蔵鉄から減っていきます。
赤血球中のヘモグロビンは、よほど鉄欠乏が進行しない限り減らないのです。
だから、健康診断で「貧血」と診断されなかったからといって、喜んでいてはいけません。
ほとんどの女性のフェリチン値は低く、「潜在的な鉄欠乏」の状態であると言えます。
潜在的な鉄欠乏の状態では、さまざまな体の不調が出てきます。
たとえば頭痛やめまい、手足の冷えといったことも鉄欠乏が原因になっていると考えられるのです。
月経で毎月一定量の鉄を消耗してしまう女性は、男性以上に鉄が必要ですが、妊娠前であれば一日2㎎、妊娠中なら一日4㎎使われてしまいます。
妊娠前から鉄欠乏の状態で妊娠すると、お母さんだけでなく赤ちゃんも栄養不足になってしまいます。
妊活時から必要?鉄不足は不妊の原因に
鉄不足は貧血になりやすいというのは多くの方が知っていることかと思いますが、妊娠を望む人も鉄はしっかり補わなければいけません。
- 月経中の経血量(出血)が多い人
- 胃腸が弱い、弱っている人
- 冷え性体質の人
上記のような方は妊娠しにくい体質を招いていると言われています。
血行を促進して健康的なカラダにすることで妊娠力を高めることができます。
特に血流が悪いことが生殖機能に影響してしまうと月経不順だけでなく、排卵障害や子宮内膜症といった不妊症が発症する可能性もあるため注意が必要です。
そのため、貧血体質を改善するということは妊活にとっても非常に重要なことなのです。
鉄分を補うには何を食べればいいの?
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
ほうれん草やひじきなど植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄で、たんぱく質と結合していない鉄です。
実は非ヘム鉄は吸収率がとても悪いのです。
一方、ヘム鉄はたんぱく質と結合している鉄。
その吸収率は非ヘム鉄の5~10倍。積極的にとってほしいのはヘム鉄のほうで、肉や魚、卵などの動物性食品に多く含まれています。
肉や魚などを極端に食べないでいると、重度の鉄欠乏になり、妊娠体質からは遠ざかってしまいます。
レバーなどヘム鉄たっぷりの動物性食品も意識して摂取するようにしましょう。
鉄分の吸収効率を上げるコツ
サプリメントで使用されることの多い非ヘム鉄は普段エネルギーとして働いている鉄とはまた違う形のため吸収力は高くありません。
その非ヘム鉄を吸収しやすい形に変えてくれるのがビタミンCと言われています。
ビタミンCが豊富に含まれた食品や、サプリメントで補う場合はビタミンCが一緒に配合されたタイプを選ぶことが鉄の吸収効率をアップさせるコツとなります。
そのため、多くの葉酸サプリにもビタミンCが配合されています。
さらに葉酸+鉄+ビタミンB12もヘモグロビンの生成を促進する組み合わせと言われています。
また、お茶や赤ワインなどに含まれるタンニンは非ヘム鉄の吸収を邪魔するとされています。
鉄をしっかり補いたい方はタンニンが含まれる飲料水を控えるようにしておきましょう。